デンマークのクリスマスのお菓子


Danish Christmas Dessert Recipe


北欧 デンマークへの行こうと思ったきっかけはデザインでした。センスの良い家具やインテリアを現地で見てみたいという思いから訪れることにした旅でした。
デンマークの食べ物というとまず思い浮かぶのはサーモンやニシン、デニッシュ、オープンサンド。そして近年は、世界のベストレストランに選ばれたNOMAから広まった、新しい北欧料理「ニューノルディック・キュイジーヌ」。

デニッシュ(Danish)は生地を薄く伸ばしし幾重にも重ねてつくるパン。
デニッシュは“デンマークの”という意。しかしデンマークではヴィエンナ・ブロート「ウィーン風のパン」と呼ばれています。
ライ麦パンに具材を乗せたオーブンサンド「スモーブロー(smørrebrød)」。
サーモンやローストビーフだけでなく、フィッシュフライやハンバークが載っているようなものまで、ボリュームたっぷりの贅沢なサンドです。
新しい北欧料理「ニューノルディック・キュイジーヌ」を感じるレストランでの朝食の一品。
ナチュラルな盛り付けが美しい。

では、デンマークの家庭料理というと。。。

今回、暮らしの中でつくるお料理を教えていただいたのは、デンマーク人のブランドさんとご結婚されて50年ほどコペンハーゲンに住んでいらっしゃる夏代さん。クリスマスにつくる伝統のお菓子を3種教えていただきました。

まず1つ目は、Kransekage(カンセケーエ)。
デンマークのお祝いの伝統お菓子です。

材料 | INGREDIENTS 
マジパン 500g
粉砂糖 150g
卵白 1.5個分
アイシング:粉砂糖+卵白

日本の家庭でつくる場合のレシピはこちら >

カンセケーエの生地のベースはマジパンです。
ヨーロッパでお菓子によく使われるマジパンはアーモンドを挽いて砂糖を練りあわせたもの。デンマークではスーパーでも気軽に購入できます。

マジパンに粉砂糖と卵白を加えてよく練り合わせた生地を、棒状にしてカットし、三角に手で成形します。天板を2枚重ね、オーブンシートを敷いてカンセケーエを並べます。190℃のオーブンで約10〜12分焼きます。

カンセケーエが冷めたら、アイシングで飾り付け。カンセケーエを並べると屋根に雪が積もったお家が並んでいるよう。クリスマスにぴったりの可愛らしいお菓子。
まわりはサクッと中はモッチと、アーモンドの香りと美味しさたっぷりの贅沢な味わいです。

カンセケーエはお祝いによって様々な形にして楽しみます。大晦日(Nytårs aften)やお正月(Nytårs dag)にはサイズ違いの輪を順に重ねてタワーに。結婚式のお祝いにはホルンの形。家庭では、今回教えていただいた三角形が定番とお聞きしました。

夏代さんのご家庭では、New Years Eveがカンセケーエを焼く日。「大晦日は40年来のご夫妻と毎年一緒に過ごしているの。1年交代で訪問する方がカンセケーエのタワーを焼いて持参するのよ。新年を告げるコペンハーゲン市庁舎の鐘が鳴ると、シャンパンを開け、カンセケーエを食べるのが伝統なの。」と話してくれました。

2つ目に教えていただいたお菓子は、Kransekagetoope(カンセケーエトッペ)。こちらもクリスマスやお祝いに焼きます。

材料 | INGREDIENTS 
マジパン 500g
粉砂糖 100g
卵白 2個分
ドレンチェリー(シロップ漬けチェリー)やナッツなど

作り方はカンセケーエとほぼ同じですが、こちらはマジパンに加える卵白と砂糖の量を調整して絞り出してつくります。トッペ(toppe)はテッペンという意味。クッキーの天辺にドレンチェリーやナッツを飾ります。カンセケーエトッペはカンセケーエより薄いので、サクッとした食感のクッキー。同じ材料でも様々な工夫やアイデアでお菓子つくりを楽しんできた様子が目に浮かびます。

お菓子づくりの材料として欠かせない卵。カンセケーエのように卵白だけを使うお菓子もあれば、カスタードクリームのように卵黄だけを使うお菓子もあります。デンマークでは卵白と卵白それぞれパックで販売しているのだそう。Æggehvideが卵白、Æggeblommeが卵黄。

そして3つ目は、Risalamande(リスアラマン)。
クリスマスイブのデザートにいただくライスプディングです。ライスプディングは、みるく粥から進化したデザート。みるく粥に刻んだアーモンドと泡立てた生クリームをまぜ、チェリーソースをかけていただきます。

材料 | INGREDIENTS 
4〜6人分
【みるく粥】
お米 180g
水 300ml
牛乳 1ℓ

【ライスプディング】
アーモンド(皮を取ったもの)100g
バニラビーンズ 1〜2本
砂糖 大さじ4
生クリーム 250ml

はじめにみるく粥をつくります。
鍋にお米と水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にします。2〜3分煮たら牛乳を加え、蓋をして時々かきまぜながら30分ほど煮ます。そのまま冷まして、粗熱が取れたら冷蔵庫で寝かせます。みるく粥は前日につくりできれば一晩寝かせるのが良いそうです。

ライスプディングをつくります。
アーモンドは皮のないホール状のものを使います。皮がついていたら茹でて皮を剥きます。アーモンドを1粒残して、残りは刻みます。

冷やしておいたみるく粥に、バニラビーンズ、砂糖、刻んだアーモンド、泡立てた生クリームを混ぜ合わせます。最後に残しておいたホールアーモンドをプディングの中に埋めます。食べる2時間前につくっておくのが理想的なのだそう。

ライスプディングにはチェリーソースをかけていただきます。既製品のチェリーはとろみがついているものが多いので、チェリーワインなどを加えて温めて添えるのも美味しい。チェリーの瓶詰めを使う時は、砂糖を加えて片栗粉などでとろみをつけて添えます。どちらも美味しそう。

真っ白なライスプディングに真っ赤なチェリーソースの色合いが華やか気分に。子供たちの楽しみは、プディングの中に隠れている一粒アーモンド。当たったらプレゼントをもらえるという楽しいクリスマスイブのデザートです。

レッスン後の試食の時間、「アーモンド入っていたでしょう?」と夏代さん。「あなたに当たるようにスプーンの上にアーモンドをのせておいてあげたのに。。。孫にはそうしてるの。そうすると必ず当たるでしょ♪」と。私は気がつかずに食べてしまったようです。。。やさしい甘さと食感の、優しさの詰まったプディングはデンマークの忘れられない味になりました。


今回、教えていただいた方
澤渡夏代ブラントさん | Natsuyo Sawado Brandt 
デンマーク在住50年、二男一女の母であり20歳の孫娘と14歳の孫息子の祖母。
長年日本人を対象にしたデンマークの医療・福祉・教育分野の研修事業を実施、2017年にリタイヤ。現在はシニアライフを楽しみながら執筆活動を通してデンマーク事情を発信している。生活のモットーは、手作り。料理、ケーキそして季節のジャム作りなど「我が家の味」を大切に。
著書は「デンマークの子育て・人育ち」「デンマークの高齢者が世界で一番幸せなわけ」「デンマークの女性が輝いているわけ」など。