花びら餅


Hanabira mochi


柔らかな白にほのかに透ける紅色が美しい花びら餅。
薄く伸ばした紅白の求肥で、白味噌餡と牛蒡の蜜煮を包み込んだ迎春菓です。
お菓子では珍しい牛蒡は、土に根を張ることから長寿を願う意味が込められていているとか。

平安時代に起源に持つ花びら餅のそのたおやかな佇まいは「かさね色」を思い馳せます。貴族たちは、季節とともに変化していく色彩を装束に写し、様々に組み合わせたかさね色を楽しみました。咲きはじめた梅の花に雪が降り積もる景色は、表が白、裏が薄紅。「雪の下」という名で表しています。

求肥は白玉粉を使い、電子レンジで家庭でも手軽に作ることができます。
新年の願いや想いを包み込み、事始めとしてつくりたい和菓子です。

材料 | INGREDIENTS 
10個分

<牛蒡の蜜煮>

・牛蒡 約1/3本
・上白糖 30g
・水 30ml

<白味噌餡>
・白さらし餡 20g
・上白糖 30g
・水 50ml
・塩 ひとつまみ
・白味噌 15g
・水飴 20g
※ 白さらし餡は白餡100gで代用できます。白餡の場合は上白糖、水、塩は不要です。

<求肥> ※電子レンジで作ります
・白玉粉 125g
・水 225ml
・上白糖 175g
・水飴 30g
・食紅 少量

打ち粉(コーンスターチまたは片栗粉)適量

<牛蒡の蜜煮>
1.
牛蒡をよく洗い、皮付きのまま10cmの長さに切り、たっぷりの水(分量外)で 柔らかくなるまで煮ます。

2. 茹で上がったら4〜6等分に切ります。

3. 小鍋に上白糖と水を入れ、中火にかけます。

4. 沸騰したら弱火にして牛蒡を入れます。

5. キッチンペーパーで紙蓋をして、再沸騰したら火を止めます。そのまま冷まします。

◇ 紙蓋をすると、少ないシロップで煮ることができます。 紙蓋にするキッチンペーパーは吸水性の高くないものが良いです。吸水性が高いとキッチンペーパーがシロップをたくさん吸ってしまうので。。。

◇ 牛蒡の蜜煮は1晩置くとより蜜が牛蒡に馴染みます。時間がない時は1時間ほどでも大丈夫です。

<白味噌餡>
1.
小鍋に白さらし餡、上白糖、水、塩を入れてよく混ぜたら、中火にかけます。

2. ヘラで混ぜて続けて、水分と粉っぽさがなくなるまで練り上げます。

3. 弱火にして、白味噌を加えて混ぜます。

4. 水飴を加えて混ぜます。

5. 水飴が溶けて全体に馴染んだら白味噌餡の出来上がりです。

6. バットに移して冷ましておきます。

<求肥>
1.
耐熱ボウルに白玉粉を入れ、水を注ぎます。

2. ゴムベラでよく混ぜます。

3. 5分ほどそのまま置いて、白玉粉に水をしっかりと吸わせます。

4. 上白糖を加えて混ぜます。

5. ラップをせずに600wの電子レンジに1分30秒かけ、よく混ぜます(写真左) 。
さらに1分30秒かけます。少し固まりができるので、ざっと混ぜ合わせます(写真右)。

6. さらに1分30秒かけると水分がなくなってきます(写真左) 。
ざっと混ぜたら、さらに1分30秒かけます。白玉粉の粉っぽさがなくなり透明感が出ます。均一になるようによくまぜます(写真右)。

◇ 電子レンジにかける時間や回数は調整してください。透明感が出て、餅状になれば良いです。

7. 水飴を加えます。

8. 水飴が溶けて、全体に馴染んだら求肥の出来上がりです。

<仕上げ>
1.
台の上に打ち粉をして、求肥が熱いうちに移します。

2. 求肥の上にも打ち粉をふり、麺棒で5mmくらいの厚みに広げます。

3. そのまま冷まします。

4. 直径約8cmの円を10個抜きます。
◇ 抜き型がない場合は、コップなどで代用できます。

5. 紅色の求肥を作ります。
小さな容器に食紅を耳かき半量くらい入れ、 2〜3滴の水でときます。
◇ 食紅は少量でも濃い色が付くので、使う量はほんの少量にします。

6. 白色の求肥の余り分をボウルに入れます。
600wの電子レンジに1分30秒かけ、水で溶いた食紅を少し加えてゴムベラでムラのないように混ぜます。薄い場合は水で溶いた食紅を追加して色の濃さを調整します。

7. 打ち粉をした台の上に熱いうちに移し、白色の求肥と同様に5mmくらいの厚みに広げます。冷めたら直径約5cmの円を10個抜きます。

8. 白色の求肥に紅色の求肥を重ね、牛蒡の蜜煮、白味噌餡の順番に重ねます。

9. 半分に折り畳めば、花びらもちの出来上がりです。

<保存について>
ラップフィルムや食品用OPPシートなどで空気に直接触れないように包んでおくと、3〜5日ほど柔らかく美味しくいただけます。常温で保存してください。


Q & A


Q. 白さらし餡とは?

A. 砂糖を入れずに豆(多くは白いんげん豆)だけで作った白生餡を乾燥させて粉末状にしたものです。砂糖と水を加えて練り上げて餡を作れます。少量の餡を使う場合に便利です。また砂糖の量を調整できるので、好みの甘さの餡を作れます。乾燥しているので日持ちがするので常備しておく良いです。練り餡だけでなく、おしるこ等にも重宝します。


Q. 白玉粉とは?

A. 白玉粉の原料はもち米です。
もち米を精白して水洗いし、石臼で水ごと引いてすり潰す水引きをした沈殿物を乾燥させたものです。沈殿物には主にでんぷん質のため、もちもちして柔らかく、冷めても固くなりにくい生地ができます。
ちなみに同じもち米から作る粉にもち粉があります。もち粉は精白したもち米を水で洗い、乾燥させ粉状にしたものです。お菓子屋さんでは弾力があり、より餅の風味を感じるもち粉で求肥を作ることが多いです。
家庭では扱いが難しいので、手に入りやすく、固くなりにくい白玉粉で代用すると手軽に求肥を作れます。

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