レモンシロップ

Lemon Syrup

暑い夏に喉を潤し、体に沁みわたるレモネード。
香り高く、心を和ませる冬のホットレモン。
「小さな果実が、こころと体の深くまで届き、大切な気持ちを掬（すく）い出す」と高村光太郎もレモン哀歌で語ったように、レモンの強い酸味は心までも響くようです。

立春を過ぎて、陽の光に春の兆しを少し感じる季節、国産のレモンが旬を迎えます。
黄色く色づき、たっぷりと果汁を含んだレモンに氷砂糖と蜂蜜を加えて一週間ほど。みずみずしく爽やかな香りが封じ込められたシロップが出来上がります。
旬の季節には無農薬のレモンも手に入りやすく、皮ごと漬け込むとピールの風味を感じるシロップに。輸入のレモンは一年中手に入るので、いつでも作ることができます。防カビ剤が気になるようであれば皮を剥いて漬け込みます。

炭酸で割ってレモネードに、お湯割りでホットレモンに、夏はかき氷にかけて、一年中楽しみたいレモンシロップです。

レモンについて
レモンというと夏をイメージする方も多いかと思いますが、旬は冬。国産のレモンは、5月頃に白い花が咲き、10月頃から香りの良いグリーンレモンの出荷が始まります。黄色く色づくのは1月頃。最盛期の2月〜3月には実も大きくなり、果汁もたっぷり。
レモンの原産地はインド・ヒマラヤ山脈の麓、温暖な地域といわれています。世界に広まったのは大航海時代。長い船旅の中で亡くなる人の多くが壊血病であり、その病の特効薬がビタミンCだったことから、レモンが船に積まれて各大陸に渡りました。クエン酸が作られるようになる前は一攫千金の果実として取引され、シチリアマフィアの発祥も実はレモンだったとか？
体にも、香りも良いレモン。お料理にお菓子に香料にと世界で大活躍です。

材料 | INGREDIENTS
レモンシロップ 800ml分（容量2ℓ密封瓶 1瓶分）
・レモン（皮付き） 800g
・氷砂糖 800g
・蜂蜜 160g
◇ レモンの皮を剥いて使用する場合は、皮を剥いた正味（800g）で計量してください。

1. レモンはよく洗い、5mm厚さにスライスします。

2. 煮沸消毒またはアルコール消毒した密封瓶に。レモンと氷砂糖を交互に入れていきます。

3. レモンと氷砂糖を押しならが、瓶のふちまで詰めます。

◇ レモンと氷砂糖をなるべく瓶に隙間なく詰めた方が、レモンの果汁が引き出されてシロップがたくさんできます。
◇ レモンや氷砂糖のサイズにより密閉瓶に入りきらない時は、別の小さな瓶に残りの材料を入れておきます。翌日、氷砂糖が溶けて隙間ができるので、一緒に合わせれば大丈夫です。

4. 蜂蜜を流し入れます。

5. 蓋をして、日の当たらない冷暗所に1日置きます。

6. 翌日、氷砂糖が少し溶け、レモンからもシロップが出始めています。1日1回、瓶を軽く揺すって、全体にシロップをなじませます。

7. 1週間ほどして、氷砂糖がすべて溶けたら出来上がりです。
◇ 氷砂糖の溶け方や、レモンからのエキスの出具合は、気温やレモンの個体差によって変わります。

＜保存について＞
冷蔵庫で1年ほど保存できます。
レモンがシロップから出ているとカビてしまうことがあるので、シロップに浸っていないレモンは取り出します。取り出したレモンは、糖分を含んで固めですが、フードプロセッサーなどで細かくして、お菓子などに焼き込むと美味しくいただけます。

Q & A

Q. 瓶に材料が入りきらない場合は

A. レモンや氷砂糖のサイズにより密閉瓶に入りきらない時は、別の小さな瓶に残りの材料を入れておき、翌日に氷砂糖が溶けて隙間ができたら合わせます。
また、翌日に隙間ができてから材料を追加しても問題ありません。

Q. なぜ氷砂糖を使うのですか？

A. 氷砂糖を使う理由は2つあります。
1つ目は純度。氷砂糖は砂糖の中で最も純度が高く、無色透明ですっきりした甘味なので、果物の香りや風味を損ねないという点。
2つ目はすぐに溶けない点です。果物に砂糖をまぶすと水分が出てきます（浸透圧）。上白糖やグラニュー糖はすぐに溶けてしまいますが、氷砂糖は大きな結晶なのですぐに溶けません。少しずつ溶けていくことで、シロップの濃度が少しずつ濃くなり、果物の表面だけでなく中からじっくりエキスを引き出します。
また、上白糖やグラニュー糖で作ると、砂糖が瓶の底に溜まって固まってしまいます。氷砂糖は果物の間にしっかりと留まりゆっくり溶けるので、シロップ作りに適しています。