和梨のコンポート
Nashi Pear Compote
暦の上では立秋を過ぎ、空に少しずつ秋の兆しが見えはじめる頃、梨が旬を迎えます。
お菓子づくりには洋梨のイメージがありますが、和梨はコンポートにしてもシャリシャリと食感はそのまま。すっきりとした甘さは、夏の終わりのデザートにぴったりです。スターアニスを加えてオリエンタルな香りに仕上げたコンポート。つめたく冷やしてどうぞ。
梨について
梨は大きく分けると和梨、中国梨、洋梨の3種。和梨は、皮の色が黄褐色で実が柔らかな幸水や新高梨など「赤梨」 と、実がしっかりとしていて皮の色が淡黄緑色の二十世紀梨や菊水になど「青梨」に分けられます。
和梨の旬は8〜9月。滑らかな食感の洋梨に対して、和梨はザラザラ・シャリシャリとした舌触り。「sand pear(砂の梨)」と呼ばれ、かつて海外では人気がなかったようです。今はみずみずしい果汁がたっぷりの梨ということで「water pear(水の梨)」とも呼ばれています。美味しい梨の選び方は皮に張りがあり、重みのあるもの。皮のザラザラ斑点は熟すにつれて滑らかになっていきます。
果物は天候や日当たりによって味や出来が左右されます。そのまま食べてイマイチというものでもコンポートやお菓子にすることで美味しくいただけます。そもそも欧米でコンポートは、固くて酸っぱい果物を美味しく食べるための知恵でした。旬の果物をコンポートにして、美味しくそして長く楽しみましょう。
材料 | INGREDIENTS
・和梨 2個
・水 400ml
・グラニュー糖(または上白糖) 80g
・スターアニス(八角)1個
1. 梨は皮を剥いて芯を取り、4〜8等分にカットします。
2. 鍋に水とグラニュー糖と入れ、中火にかけて沸騰させます。
◇ コンポートに使用する鍋は、ゆっくりと熱が入り、保温性の高い琺瑯鍋がおすすめです。ステンレス鍋でも作れます。アルミ鍋は仕上がりの色が悪くなることがあるのでおすすめしません。
3. 沸騰したら弱火にして梨とスターアニスを入れます。
4. キッチンペーパーで紙蓋をして、10分ほど煮ます。
◇ 紙蓋にするキッチンペーパーは吸水性の高くないものが良いです。吸水性が高いとキッチンペーパーがシロップをたくさん吸ってしまいます。紙蓋をすると少ない量のシロップでも煮ることができ、梨の表面も乾きません。
5. 梨が少し透明になってきたら火を止めます。スターアニスを取り出し、紙蓋をして鍋のまま冷まします。
◇ スターアニスを長くつけておくほど香が強くつきます。スターアニスを入れたまま長く保存すると、梨が茶色く色づきます。お好みのタイミングで取り出してください。
<保存について>
密閉容器や瓶に入れて、冷蔵庫で2週間ほど日持ちします。
Q & A
Q. スターアニスの代わりにアニスシードやアニスパウダーでも作れますか?
A. スターアニス(八角)は中国を原産とするスパイスで未熟な果実を乾燥させたものです。アニスは地中海原産のセリ科の一年草で、果実が種のように見えることから「アニスシード」と呼ばれ、ヨーロッパやアラブでパンやケーキ、料理の風味づけに使われてきました。
スターアニスとアニスシードは全く別の植物ですが、風味や香りが似ていることから、高価なアニスシードの代用品としてスターアニスが使われてきた経緯があります。
Q. 残ったシロップの使い道は?
A. ゼリーがおすすめです。梨の果汁もたっぷりと含んでいますので、美味しいゼリーが出来上がります。梨のコンポートにかけても。
分量・作り方は下記を参考にしてください。
・和梨のコンポートのシロップ 200〜250ml
・ゼラチン 5g
・水 25ml
作り方:「和梨のムース」レシピ内の『和梨のゼリー』を参照してください。